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カード織りの世界 - 近ごろ人気復活の北欧のカード織り

カード織りはだれのもの?


カードをくるくる回すだけで織物ができてしまう。

そんなことってある?


信じがたいけれど、ありなんです。

織りあがったバンドは、想像を超える丈夫さ。そして、独特な幾何学模様には見る人を惹きつける魅力があります。


「いったい誰がこんな技法を思いついたのだろう?」


構造が単純なだけに、生み出される模様の複雑さ、そしてバリエーションの豊かさに想像力が追い付きません。




美を生み出すのに複雑さは不要


カード織りがどれだけ単純かというと、正方形のカードの角にひとつずつ穴が開いているだけ!4つ穴の四角形が一般的ですが、ほかにも3つ穴の三角形、6つ穴の六角形、8つ穴の八角形のカードも考案されてきました。


このカードを90度回転もしくは半回転させることでよこ糸を織り込んでいきます。


この回転のさせ方にカード織りの醍醐味があると言えます。

すべてのカードを一方向に回転させることもできますが、カードをブロックに分けてブロックごとに回転の方向を変えることもできるため、回転のさせ方で驚くような複雑な模様が生まれるのです。


縛りの少ない単純な構造だからこそ、遊びがあって、その先に自由な表現の世界が広がっていくのでしょう。まさに、クリエイティブでいるために、美を生み出すために、難しいことは不要だとカード織りは教えてくれるようです。


世界中で見つかるカード織り


このカード織りの技法は2000年以上変わっていません。

単純ゆえの自由さは人の手から手へと伝えることにも適していたのでしょう。


また、カード織りは織り機のような大きな設備を必要とせず、糸を固定する場所さえあればどこでも織れるという利点もありました。編み物のような手軽さではなくても、持ち運びが簡単だったことも世界中に広まった所以でしょう。


一番古いカード織りの織り物は、紀元前375年ごろに織られたものがスペインで見つかっています。世界各地で織られた長細いバンドは、ベルトや衣服の装飾に使われたり、馬具に使われたり、紐やロープとしてさまざまなシーンで使われてきました。





北欧のカード織り熱、再燃!?


私の住む北欧にもカード織りは伝わっています。


バイキング時代の生活を再現する野外ミュージアムに足を運んだりすると、カード織りを実演している女性たちに出会えることがあります。


カード織りは紀元前4000年ぐらいの古代エジプトが発祥だとする説がありますが、決定的な証拠がないようです。一方、北欧にはさまざまな出土品があります。デンマークでは鉄器時代に作られた木製のカードが見つかっているそうです。


スウェーデンでは800年から1000年ぐらいまでの間に非常に高度なバンドが織られました。交易の拡大にともなってか、金糸やシルク・リネンの混合糸などを使ったのだそうです。どんなに繊細なバンドを織っていたのでしょう。想像するだけでもわくわくします。


そうなんです、織り物は使用する糸の太さや素材によって表情がガラリと変わるのも楽しい。昔の文献などを見ていると、私もいろいろなバンドを織ってみたくなり興味は尽きません。


そんな北欧のカード織りに近年ひそかに注目が集まっているようです。


これには、いくつかの理由が考えられます。

世界中で手作りやクラフトに対する関心が高まっているので、DIYの流行も理由のひとつでしょう。また、地球環境を配慮したエシカルな消費に対する意識も高まっています。大量生産&大量消費に疲れた人たちが、長く使えるオリジナル性のあるものを求めていることもあるでしょう。


さらに、北欧のカード織りに限って言えば、北欧のデザインやライフスタイルが世界的に注目を集めていることも大きいと思います。当然、北欧の手工芸にも関心が向いています。自然にインスピレーションを得ている北欧のバンド織りの模様に独自の美しさを見出す人たちが出てきているのも不思議なことではなさそうですね。



次回は北欧のカード織りについて書いてみようと思います。

それではまた!



≪おまけ≫

デンマークのとあるミュージアムに行った時のこと。

2020年に出版されたカード織り入門の本"Kend dine brikker - Brikvævning for begyndere"を見つけました。おそらく発行部数は少ないとは思いますが、それでもごく最近になって新しい本が出るというは、カード織りへの関心の高まりを物語っているのではないかなと思うのです。


その本の中の模様をアレンジしてご紹介したのが、こちらのキーホルダーです。↓↓↓




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